オペレーション
operation
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この記事は眼科経営をサポートする眼科専業コンサルタントの西條が眼科医院の院長向けに記載した診療効率化についての記事です。
患者さんの満足度を低下させる要素はたくさんありますが、まずは待ち時間がどの程度満足度を低下させるのか確認していきましょう。
こちらを見ると満足していない理由のTOP3が
となっていることがわかります。
中でも待ち時間に対する不満は第3回~第6回にかけ徐々に減少していましたが、第7回で大きく増加しています。第7回調査の実施時期が2020年7月であり新型コロナウイルスの流行以降、患者さんが待ち時間に敏感になっていることが読み取れます。
このように待ち時間は従来から不満足を招く大きな要因でしたが、新型コロナウイルスの流行以降不満に感じる方が増加したため診療効率化は避けては通れない経営課題と言えるでしょう。
一方で医師の説明に対する不満も根強くあり、診療を短くすると不満に思われるのでは、と警戒されている先生が少なくありません。
これは診療効率化を単なる短時間診療と捉えてしまっているから生じる間違いです。
私が考える正しい診療効率化とは「医師の業務を分担すること」です。
病院で外来中の説明はもちろん、手術の説明もご自身で実施されていた経験から患者さんへの説明は医師の業務と考えてらっしゃる先生が多く見受けられますが、クリニックでの診療は多くの場合医師1人で大勢の患者さんを診察する必要があります。
そのため説明全てを医師が行っていては一人あたりの診療時間が長くなり、結果としてクリニック全体の待ち時間が長くなります。
一方で問診・説明やカルテ記入など医師の業務を上手くスタッフさんに分担されているクリニックでは、患者さんの満足度を落とさず患者さん1人あたりの診察時間を短縮しクリニック全体の待ち時間を短くされています。
この話をすると「医師が説明しなければ患者さんは満足しない」とおっしゃる先生やスタッフさんが多いのですが、それも取り払うべき固定概念です。
満足度を維持しながら効率化を実現するために普段のご自身の説明を思い返していただき、その話は本当に医師にしかできないのか、医師が説明する必要がある内容なのか検証してください。
もう少し詳しくお伝えしますと、毎回同じ説明を繰り返している検査結果の見方や教科書的な病気の概要は先生でなければいけないのか、ということです。
また、診察室で「今日はどうされましたか?」と1から問診を行っていらっしゃる先生も少なくありません。こちらもスタッフさんが事前に取った問診内容を把握し「今日は目の痛みと見えづらさで受診されたのですね、では診察していきましょう」と診察に入ることで医師の業務負担が減り1人あたりの診療時間短縮に繋がります。
カルテ記入も同じです。カルテ記入は診察には欠かせないものですが、患者さんにとっては医師が記入してもスタッフさんが記入しても満足度には影響ありません。むしろクラークやシュライバーにカルテ記入を任せ、医師は患者さんと面と向かって話をする方が満足度が高くなる上、1人あたりの診療時間が短くなります。
これらのように単に説明を端折って短時間で診療するのでは無く、普段行っている業務を「医師でなければいけないのか」という観点で見直し、役割分担を進めることで満足度を維持したまま診療効率を改善することができます。
待ち時間についてさらに広い視野で考えると自動精算機や予約システムの導入も効果的です。
診察効率を向上させることで診察までの待ち時間を短縮できますが、予約システムを活用することで検査までの待ち時間を短縮でき、自動精算機を導入することで診察後の会計待ち時間を短縮できます。
特に会計待ち時間は多くの先生方が気づきづらい待ち時間で、不満足に繋がりやすいため注意が必要です。
診察が終わるまでは受診という目的があるため多少の待ち時間は我慢してくれる患者さんが多いのですが、受診という目的が果たされた診察後は全ての患者さんが早く帰りたいと感じています。そのため診察までの待ち時間に比べて会計待ち時間は不満足に繋がりやすいのです。
診察中は診察にいるため先生方はどうしても会計待ち時間に気づきづらいためより注意を払われると良いでしょう。
医療に対する意識調査の結果から新型コロナウイルスの流行以降、患者さんが院内での待ち時間に敏感になっており以前にも増して不満足に繋がりやすいことが判明しています。
自院の満足度を維持・向上させるためにも単なる短時間診療を行うのでは無く、正しい診療効率化を行って満足度と効率化の両立を図っていただければと思います。