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この記事は後期高齢者の窓口負担変更について眼科クリニックの院長向けに記載した記事です。
2022年10月1日より後期高齢者の内、一定以上の収入がある方は現役並みの所得がある方(既に3割負担している方)を除き窓口負担が1割から2割に変更となります。
眼科クリニックは医業収入に占める高齢者の割合が多いため今回の変更を正しく理解し、必要に応じて対策を取られることをお勧めします。
まずは変更内容を確認していきましょう。
現役並み所得者(既に3割負担の方)かつ以下の基準に全て当てはまる方
1世帯内の被保険者に住民税課税所得が28万円以上の方がいる
2世帯内の後期高齢者医療保険者が1人の場合
年金収入+その他合計所得が200万円以上の方
世帯内の後期高齢者医療保険者が2人以上の場合
年金収入+その他合計所得が320万円以上の方
中には後期高齢者全員が2割負担となる、と勘違いされている先生がいらっしゃるかもしれませんが、厚生労働省の資料によると2割負担となるのは被保険者の内20%とされています。
さらに、この20%の患者さんに対して配慮措置として2025年9月30日までは外来の負担増加を月3,000円までに抑える措置があります。
このことから眼科経営に与える影響は限定的と考えられます。
手術をされているクリニックにおいては単価が高いため1割から2割負担になると患者さんの負担が一気に大きくなり手術控えが起こるのでは、と危惧される先生もいらっしゃるでしょう。
しかし、今回の変更では手術等の高額負担への影響はありません。
高額医療費については従来より高額療養費制度があります。
これはひと月の間で医療機関や薬局で支払った窓口負担が上限額を超えた場合に超えた金額が支給される制度です。
日帰り手術を実施されるクリニックであれば患者さんの負担を抑えるために同一月内に両眼の手術を行っているところもあると思います。
2割負担となった方でも高額療養費の上限額は18,000円で据え置きとなっているため患者さんの実質負担額が変わることはありません。
前述のように対象者が限られること、高額療養費の上限額に変更が無いことから今回の変更が眼科に与える影響は限定的なものになると予想されます。
今後起こりうる影響としては
などが考えられます。
継続通院が必要な患者さんについては自己判断で治療を中断することが無いように治療の必要性を改めて理解してもらう、ということが王道の対応になるでしょう。
実際の現場での対応としては説明用のツールを準備したりスタッフさんによるアフターカウンセリングを充実させるなどの対応が有効です。
そのほか金銭的な負担を気にされる患者さんに対しては外来での負担増加額が月3,000円に抑えられることをポスターなどで周知することも有効でしょう。
症状が安定していれば、という前提が付きますが通院間隔を伸ばし、年間の治療費を抑える、という対応もあります。ただし、こちらは通院頻度が低下し、クリニックの医業収入も低下しますので安易に実施することはお勧めできません。
こちらへの対応としては高額療養費の上限は変わらないことをポスターで掲示したり、手術の説明をする際に費用のことも説明し、患者さんの勘違いを解いてあげると良いでしょう。
こちらは単なる勘違いですのでそれほど難しくないと思います。
患者さんから窓口負担の質問があった際にある程度スタッフさんでも答えられるように院内で情報確認を行っていたくと良いでしょう。
制度そのものについての質問などクリニックで回答できる範囲を超えている場合は都道府県の後期高齢者医療広域連合、または患者さんがお住まいの市区町村の「後期高齢者担当窓口」の連絡先を案内できるようにご準備いただくと良いでしょう。