マネジメント

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マネジメント2022.9.1

眼科と相性の良い求人媒体とは

■クリニックにおけるスタッフ採用の大前提

昨今の眼科クリニックの採用状況を院長先生方からヒアリングしていますと以前厳しい状況が続いているように感じます。いつの時代でも有効求人倍率が1を超え、採用市場が売り手市場になるとクリニックは採用において不利な立場に立たされます。

過去を振り返るとリーマンショック後など日本経済が不景気と言われる時代では“安定している”という理由からクリニックの人気が高くハローワークに募集を出すだけで多数の応募が集まり、良い人を選んで採用するという時代もありました。

しかし私の感覚では5年以上数少ない応募の中から採用を決める、あるいは求人を出してもなかなか応募が集まらないという状況が続いています。

なぜクリニックは人が集まりづらいのか

  • (無資格の事務スタッフにおいては)専門性が高いと感じられてしまう
  • (有資格者においては)病院に比べて専門性が低いと感じられてしまう
  • 一般的な勤務条件に比べて就業時間が長くなりやすい
  • 近隣業種(病院)に比べて給与相場が低い

無資格の事務スタッフからすると未経験の方は医療というだけで専門性が高く感じられてしまい敬遠される傾向にあります。

一方、視能訓練士や看護師など有資格者からすると病院に比べてクリニックは専門性が低いと感じられ、勉強したいという意欲のある有資格者からの人気が得られないという傾向があります。

また、クリニックはいわゆる9時5時と言われる一般企業の事務職に比べて拘束時間が長く、病院と比較しても診療日や診療時間の面から就業時間が長くなりやすいため勤務条件の面で採用難度が高くなってしまいます。

さらに近隣業種や病院に比べて経営規模が小さいためクリニックは給与水準が低いことが多くやはり採用難度が高くなってしまいます。

これらのことからスタッフ採用の大前提として不景気以外は採用が難しいとお考えいただくと良いでしょう。

■採用確度を高めるためには

前述のように不景気でも無い限り採用難度が高いクリニックにおいて採用確度を高めるためには

  • 雇用条件を整える
  • 相性が良い媒体を選ぶ

の2つの対策があります。

雇用条件を整える

こちらは勤務時間や休日、給与など労働条件を変更し、求職者にとって魅力的に映るようにし、応募の増加を狙うという方法です。

クリニックの場合勤務時間=診療時間と考えられがちですが、積極的に労働条件の改善に取り組まれているクリックでは学生バイトに夕方からの数時間勤務してもらうことで1,2名の常勤スタッフが定時に上がれるように工夫をされているところもあります。

育休明けの時短勤務スタッフさん対応にも繋がる方法ですのでこれからの時代にマッチした手法だと思います。

休日についても常勤=全診療日出勤するものという固定概念を捨て、週4日勤務常勤、週5日勤務常勤、週5.5日勤務常勤のような形で入職時に出勤日数を選べるようにしているクリニックもあります。勤務日数が減る分給与の調整が必要となりますので事前に準備が必要ですがこちらもこれからの時代にマッチした手法と言えるでしょう。

給与は容易に上げることはできませんが、競合クリニックや、地域の近隣業種の給与相場をご確認いただき、大きな差がある場合は調整をご検討いただくと良いでしょう。

給与相場についてはこちらもご覧ください。

相性が良い媒体を選ぶ

雇用条件の調整は就業規則の変更や学生バイトの雇用など事前準備が必要となりますが、求人媒体の選定は特別な準備を必要とせず今すぐにでも取り組める手法です。

求人媒体はその特徴からそれぞれの媒体で抱えている求職者の志向性に偏りがあります。

この偏りを把握して相性が良い媒体を選ぶことで採用確度を高めることができます。

媒体毎のおおよその傾向としましては

リクナビ、マイナビなど新卒系媒体

主に4大や短大卒業者向けの求人媒体です。

これらの媒体に登録しているのはこれから社会に出る学生であるため、企業イメージや知名度の高さから応募企業を選ぶ傾向にあります。

大手医療法人や医療・介護グループ企業であれば応募が期待できる可能性がありますが、一般的なクリニックは反響が厳しいものとなるでしょう。

リクナビネクスト、マイナビ転職、en転職など正社員向け転職媒体

正社員向けの転職媒体です。

これらの媒体に登録している方は既に正社員として勤務しながら転職先を探している方です。キャリアアップや労働条件の改善を求めて応募先を選ぶ傾向があります。

掲載単価が高い上、登録者の志向性とマッチしないことが多いためクリニックでの使用はお勧めではありません。

とらばーゆ、女性の転職など女性向け求人媒体

女性向け転職媒体です。

これらの媒体に登録している方は正社員として働いている女性か正社員としての勤務を希望する女性です。

ひと昔前であれば医療事務=とらばーゆという時代もあったように思いますが求職者の志向性として労働条件が良いところへの就職を希望する傾向があります。

クリニックで効果が出ているところもありますが労働条件が見劣りする場合は苦戦する可能性があります。

ジョブメドレー、コメディカルドットコムなど医療特化の求人媒体

医療機関に特化した求人媒体です。

後発の求人媒体であったため以前は効果が難しいこともありましたが認知度が高まっているのか応募が増えているように感じます。

これらの媒体に登録している求職者は前提として医療機関での勤務を希望していることもあり、労働条件だけでは無くやりがいやクリニックの特徴、人間関係なども含めて自分に合った勤務先への就職を希望する傾向があります。

採用課金型のサイトが多く、無駄なコストがかからない点からもクリニックでの求人で人気が高まっているように感じます。

ハローワーク

厚労省が所管する職業紹介所です。

様々な方がハローワークを通して仕事を探しているため一言で志向性を表すことはできませんがクリニックとの相性は悪く無いように感じます。

特に地方であればハローワーク経由の方がしっかりしている方が応募してくるという声が多く、費用がかからないこともあって求人を考えた際に最初に使用を検討するべき求人媒体です。

専門学校、養成大学での新卒採用

医療事務や視能訓練士の専門学校に求人を出す方法です。

専門学校に入学した時点で医療機関(視能訓練士であれば眼科)への勤務を決めている方がほとんどです。

医療機関を志望しているのだからやりがいや特徴で就職先を選ぶと思われる先生もいらっしゃいますが、キャリアセンターの方からヒアリングをするとシビアに条件面も見ているようです。

間違っても狙った魚がいない釣り堀に針を垂らしていた、とならないように媒体毎の特性を理解し、効果が期待できる媒体に求人を出していただくと良いでしょう。

■職種毎の相性が良い媒体

クライアント医院での状況を踏まえて大まかに職種毎に適した媒体をお伝えします。

医院の立地や労働条件によって反響ががらっと変わりますのでご参考としてご覧いただければと思います。

事務職

ジョブメドレーなどの医療特化型の媒体からの応募が増えています。
都市部であればIndeedで効果が出ているクリニックもあります。
まだまだハローワークも効果的が期待できます。

視能訓練士

視能訓練士協会の求人がメインとなります。
ジョブメドレー、コメディカルドットコム、グッピーなどの医療特化型媒体でも効果が出ているケースがあります。
職員からの紹介(リファラル採用)も効果が出ることがありますのでスタッフさんにお声がけいただくと良いでしょう。
専門学校、養成大学からの新卒採用で安定的に採用をされているクライアント医院もあります。実習の受け入れができると新卒採用への繋がりが期待できますので新たに実習を受け入れられるようにしたこともあります。

視能訓練士は需要に対して資格保持者が不足しているため圧倒的な売り手市場です。
そのため経験者の採用を狙うのではなく、中長期的な視点に立って新卒採用をして自院で育てると割り切るもの一つの方法です。

看護師

看護師は人材紹介で動く方が多いのでいくつか紹介会社へ声をかけると紹介してもらえるでしょう。ただし、紹介会社は手数料が高いため注意が必要です。
看護のお仕事や看護rooなど看護師特化型媒体もありますのでこちらも検討いただくと良いでしょう。
ハローワーク経由で看護師が採用できたケースもありますので有資格者だからといってハローワークを切り捨ててはいけません。

看護師は視能訓練士に比べると資格保持者は多いものの眼科経験者となると数が限られ、採用難度が高くなります。
こちらも視能訓練士同様眼科未経験者でも自院で育てると割り切ってハードルのも一つの方法です。

■最後に

有資格者は勿論のこと、無資格の事務スタッフも採用が難しい状況が続いています。

採用の効果を高める一方で離職率を低下させる手段も講じることで医院の人員を安定させていただくと良いでしょう。

採用を行う場合は雇用条件の見直し、求人媒体の選定両面を見直していただき狙った獲物がいる釣り堀に魅力的な餌をつけた針を垂らしていただければと思います。

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