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オペレーション2022.9.1

自動精算機で会計待ちは短くなるか

本記事では眼科クリニックにおいて自動精算機は使えるのか、会計待ち時間は短くなるのかをお伝えします。

■そもそも眼科で自動精算機は使える?

眼科は高齢の患者さんが多いので自動精算機は使えないのではないか、患者さんからクレームがくるのでは、といった不安を覚える先生が少なくありません。
クライアント医院さんでの運用状態から私は「眼科クリニックでも自動精算機は使用可能で前向きに検討する価値がある」と考えています。

判断理由としましては
・高齢者でも使用できていること
・会計待ち時間の短縮に繋がる場合がある
・省力化に繋がること
の3点です。

冒頭にもお伝えしました「高齢者は使えないのでは?」という懸念ですが、自動精算機の機種にもよりますがほとんどの機種がシンプルな操作になっていますので高齢者でも問題無く使えるでしょう。駅にある自動券売機が操作できればクリニックの自動精算機は問題無いと捉えていただくとイメージしやすいと思います。

スーパーやコンビニなどでも自動精算機の導入が進んでおり、今後はさらに一般社会に浸透していくと思われますのでその点からも高齢者の使用は問題無いと考えられます。

別の投稿でも触れましたが、会計待ち時間は患者さんからすると「目的(診察・治療)が終わって早く帰りたいのに待たされている時間」となります。
診察までの待ち時間は多少長くなっても目的のために我慢してくださる方が多いのですが、診察が終わった後の会計待ち時間については不満足に繋がりやすく、少しでも短縮することが望ましい待ち時間です。
そのため自動精算機の導入が会計待ち時間の短縮に繋がる場合は導入効果が高いと言えるでしょう。

省力化については言わずもがな金銭の授受が機械に置き換わることでスタッフさんの業務負担が減りますし、診療後のレジ締めでも負担が減少します。
人件費を削減できる他、余裕ができた人員でアフターカウンセリングなど満足度を向上させる業務に回すことも可能となります。

これらのことから前向きに検討する価値があると考えております。

■自動釣銭機と自動精算機

導入の検討にあたってご相談いただく内容が「どの機種を導入すれば良いか」という内容です。
機種を考える前にまずは自動釣銭機と自動精算機の違いから見ていきましょう。

自動釣銭機

自動釣銭機イメージ

自動釣銭機は従来スタッフさんのおつり間違い防止で導入されていたレジを患者さん側に向けたもので金銭の授受を自動化できるものです。

自動精算機

自動精算機イメージ

自動精算機は患者さん本人で精算できるタイプで、クリニック側はレセコン上で会計処理をするだけで患者さんが自ら精算してくれます。

大きな違いは自動釣銭機であればある程度(費用の案内や患者さんからの会話への対応など)スタッフさんの関与が発生する、自動精算機であれば会計処理が完了したことさえ患者さんに案内できればその後は基本的に関与せず患者さんが会計してくれます。

まずは大きな違いがある2つのタイプの内、いずれが自院に適しているのかを検討いただき、その後機種を選定していただくと良いでしょう。
機種によって機械のサイズや操作方法、現金の補充方法に加えて、前回の訂正会計まで対応できるなど機能面にも差があるようです。

この辺りは実際に運用を任せることになるスタッフさんの意見も取り入れながら検討していただくとスムーズに導入できるでしょう。

■会計待ちは短くなるか

さて、本題の「自動精算機を導入することで会計待ち時間は短くなるのか」という問いですが、結論としましては多くのクリニックで会計待ち時間の短縮に繋がると考えています。
ここで“多くのクリニックで”と述べたのは自動精算機を導入しても会計待ち時間の短縮に繋がらないクリニックもあるからです。

会計待ち時間に繋がらないクリニックとは

そもそも金銭の受け渡しに時間がかかっていないクリニック

自動精算機で短縮できる時間は会計担当と患者さんが金銭の受け渡しをしている時間です。
そのためそもそも金銭の受け渡しにそれほど時間がかかっていない場合、自動精算機を導入しても大きな時間短縮には繋がりません。

金銭の受け渡しと会計処理を別の方が担当しているクリニック

金銭のやり取りと会計処理を別々のスタッフさんが担当している場合も会計待ち時間の短縮には繋がりません。
1人のスタッフさんが両方の業務を担当している場合、会計処理をしてその後に金銭の受け渡しをすることになるので金銭の受け渡しをしている間は次の患者さんの会計処理が止まります。そこで自動精算機を導入することで導入前は金銭のやり取りに使っていた時間を会計処理に費やせるようになるので時間あたりの会計可能人数が増え、会計待ち時間の短縮に繋がります。
しかし、元々別の方がそれぞれの業務を担当していた場合、金銭の受け渡しで会計処理が止まるということがありませんので自動精算機を導入しても会計処理に使える時間が増えることが無く、会計待ち時間の短縮には繋がらないという結果になります。
ただし、金銭受け渡しの業務を担当していた方を他の業務に回すことができますので、この場合でも省力化や人件費削減の効果は得られます。

実際に私のクライアントさんでも院長先生が会計待ち時間の長さを気にされ、自動精算機の導入を検討されていたので会計業務を調査・分析したところ、金銭の受け渡しそのものは患者さん1人あたり11秒しかかかっておらず、自動精算機を導入しても会計待ち時間の短縮効果は薄いということがわかり、導入が見送りとなりました。
このように会計待ち時間が長くても原因が金銭の受け渡し以外にある場合は期待した効果が得られませんので、導入を検討されている先生は「そもそもなぜ会計待ちが長いのか」という原因を明確にされることをお勧めします。

■最後に

自動精算機は省力化という面で大きな効果を発揮してくれる機械です。
しかし、会計待ち時間の短縮という面では期待した効果が得られない場合があります。
導入を検討される場合は目的と課題を明確にしてからご検討いただくと良いでしょう。

さらに少し将来の話になりますが、徐々にクリニックでも広がりつつある会計後払いサービスが一般に普及してくると「クリニックで会計をしてから帰る」というフローそのものが少なくなる可能性があります。
そうなった場合は自動精算機の効果がさらに小さなものになってしまうため積極的に導入したいとお考えの先生以外は今一度導入について見直していただいても良いかもしれません。

後払いサービスについては「医療費あと払い」「デジスマ診療」「待たずにラクーだ」など各社のサービスが展開されていますのでご覧ください。これらはまだまだ発展段階のサービスで、将来的にどのサービスが主流になるか現時点ではわかりません。一方で患者さん側の登録が必要となるため一旦自院で浸透してしまうとサービスの変更で告知や説明の手間が発生します。
そのため経営判断として覇権を取るサービスを見極めてから勝ち馬に乗る、という判断も良いご判断だと思います。
反対に患者さんの負担が減る上、導入医院が少ない内は差別化に繋がるというご判断も良いご判断だと思います。

いずれにせよどのような課題を解決したいのか、そのために最適な手法は何か、を明確にしてからご判断いただくと良いでしょう。

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